No.4「湯浅の不動産レポート No.1 岡山市南輝 狭小地を生かすプランニング」


No.4「湯浅の不動産レポート No.1 岡山市南輝 狭小地を生かすプランニング」
ALOHA!!!

皆様2009年も西部建設・アトリ英伊斗設計室を宜しくお願いいたします、久々のコラム更新ですが、今回から「湯浅の不動産リポート」として様々なケースに応じたプランニング事例を実在の土地物件(自社物件)を使いご提案していきたいと思います。

さて第一回目の今回は、岡山市南輝2丁目にある狭小地をケーススタディとして4人家族が家を建てる場合を想定してみました。
岡山市南輝 完成パース図

今回は”安い土地を、資産価値が高く良く工夫されデザインに優れた家”としてテーマを設定しプランニングしてみました!
さて、どんな土地がどのように変わっていくのでしょうか?実際の業務と同じ流れで進めていきますので順を追ってご覧下さい。



家族構成及び要望

  • ・夫婦2人/子供2人の4人家族
  • ・車2台/自転車2台
  • ・収納やクローク等が多く、広々としたLDK(キッチンはオープンスペース)
  • ・夫婦の主寝室と子供2人の寝る部屋+勉強スペース
  • ・家族でアウトドアを楽しむことが多いので、キャンプ用品などを外部に収納できるスペース
  • ・電化住宅


敷地概要

図1 岡山市南輝2丁目 平面図
▲図1:岡山市南輝2丁目 区画平面図(クリックで拡大)

写真1 岡山市南輝2丁目 敷地全体写真
▲写真1・2(クリックで拡大)

写真2 岡山市南輝2丁目 敷地全体写真

所在地

岡山市南輝2丁目

価格

350万円(坪単価 約16万円)

敷地面積

63.28m²(官地5.97m²)

用途地域

第1種中高層住居専用地域

建蔽率

60%

容積率

200%

接道

西側4M(南側水路有)

備考

公共下水道・公営上水道・LPG・中国電力

実際に取り扱っている土地情報を元にプランニングしています(西部建設 土地情報より該当物件はこちら
[写真1・2][図1]をご覧頂ければ分かります通り、とにかく狭い!なにしろ間口4m×奥行15mと典型的な「うなぎの寝床」のような土地です。 ほとんどの方が見にいくことさえしない土地なんでしょう…。
ですが、私達設計士は違うんですねえ〜。




プランニング

…どうやったらこの土地に日当りがよく駐車スペースも取れ、かつ広い空間が確保出来るだろうか?
まずはここから入るんです。可能性がないか、つまり長所を考えてみるんですね。そうすると色々出てくるものなんです!

1.外観や内部をイメージ

まず私が取り掛かるのが外観や内部のリビング等のイメージです。
通常は平面図や立面図を起こして、それからパースを作って、それでやっとイメージが出来上がるのですが… 私達のように設計やデザインをしている人間は逆で、頭の中である程度の形が先に出来ています。 設計士やデザイナーにとってはこれが最初の肝心なとこなんですね。

「その土地にどんな家建てたらかっこいんやろお・・・」
「どんな工夫や雰囲気にしたら毎日楽しんやろお・・・」

自分が住んだ時、仕事で疲れて帰ってきて、学校の勉強が大変で、毎日の家事や子供や旦那の世話が大変で…そんなときも…

「みんなが家に帰ってきて1、2時間ぐらい外で毎日自分の家を眺めるのが日課・・・」
「休みの日に自分も奥さんも子供もどこにもいかないで家で過ごしたい!」


そんな家を想像するんです、まるで自分の家のように…。 ですから実はこの時点である程度のイメージは頭の中で固まっていて、これからご説明いたしますリポ―トはそれを実際に具体化する為の物になります。



2.駐車スペースの取り方/官地の活用

まず最初に考えなければならないのが駐車スペースと建蔽率です。建蔽率は60%ですから建築面積として可能なスペースは

63.28m²*0.6=37.96m²

となります。次に駐車スペースですが最近の家庭の事情で考えますと最低2台分は駐車スペースを取らなければなりません。 1台分の駐車スペースを標準で幅2.3〜2.5M、奥行4.5〜5Mはとりますから2台分で2.3M*2=4.6Mとなり、巾4.6M×奥行4.5Mは最低必要となります。
と言う事は敷地の間口4Mでは足りていませんね。困った、どうしよう…。

この問題を解決してくれるのが今回南側にある官地です。官地というのは本来地方自治体や国の土地なんですがここの場合、数十年の間ほったらかしでこの部分に接している家のほとんどが自分の庭にして活用しています。もちろん建築物や工作物などは設置してはダメなんですが、庭や駐車スペースとしては十分使えるんですね。

つまり6坪程(約12帖)がタダで使えるんです。ということはその官地の間口が1.5Mありますから合計で5.5Mの間口があることになるのです。 (南側には用水路と反対側の官地があるのでそれを含めると約40坪の土地に建てるのと同じ余裕があるんです!)
そうすると<図2>のように必然的に建てられる場所が決まってきます。
図2:駐車スペースと建蔽率の検討
▲図2:駐車スペースの見当。岡山の生活事情を考えると2台は欲しい(クリックで拡大)




3.外部付帯設備・駐輪スペース等

次に考えるのが電気温水器や外部給排水経路の確保、駐輪スペースです。これだけ狭いと「建物内部にそのスペースや経路を設けたほうが建物が大きくできて良いのではないか?」と思うのですが、建てた後のメンテナンスなどを考えるとやはり外部にそのスペースを確保したほうが良いでしょうね。

基本的にはそういったスペースはあまり大きい窓などを設けない北側や西側に設けますので、その部分を巾80cm〜1M程確保します。その際モジュールの割付もしておきます。(この場合は土地が狭いので91cmモジュールのほうが私は計画しやすいので91cmの半分の45.5cmで割付けます) そうすると<図3>のように1階部分の建築可能な部分がこれまた必然的に決まってくるんです。

図3:外部付帯設備・駐車スペースを確保
▲図3:外部付帯設備・駐車スペースを確保(クリックで拡大)





4.階層のゾーニング

ここからやっと家本体のプランニングに入っていきます。
まず、家族構成及び要望を考慮し、今までの経験上からある程度規模を想定します。

家族4人、収納、LDKなどの大きさを考慮すると少なくとも30坪程度は必要になってくると思われます。1階部分の大きさは<図3>で示している大きさしかとれません。

上階部分については建蔽率60%を超えない範囲だけで大きさを考えられますので1階部分より大きく取れ、オーバーハングで1階より飛び出すような形で考えます。 そのうえで30坪という規模を考慮しますと<図4>のような3階建てになってきます。

オーバーハング…上部構造が下部よりせり出した状態または張り出した部分の事。

図4:ゾーニング 家族構成に見合う生活空間を確保
▲図4:家族構成に見合う生活空間(約30坪程度)を確保(クリックで拡大)



ここからゾーニングに入っていきます。まず最初に考えるのが階層のゾーニングです。

・LDK
通常は1階が主にLDKとなることが多いのですが、<図4>をご覧頂けば分かるように1階が非常に狭いのとLDKは家族が集まって1日のなかで一番滞在するスペースですので、使い勝手から考えて明るく広い2階に配置することにします。

・水周り
次に考えるのが水廻り。こちらは給水圧力を考慮しキッチンとよく使うトイレ以外は1階に設けます。

・寝室、子供部屋
続いて夫婦2人の主寝室と子供2人の勉強及び寝室ですが、これはプライベート空間ですし、1・2階共それだけとるスペースがありませんので3階に配置します。

これで各階層の大まかなゾーニングができました。これに各部屋、スペースごとに収納や階段スペースを加えると<図5>のようになっていきます。
図5:ゾーニング 各階の機能・部屋割りを考えます
▲図5:ゾーニング、各階の機能・部屋割を考えます(クリックで拡大)




5.各階のゾーニング及び間取りの取り方
次に各階のゾーニング及び間取りの取り方です。まず1〜3階まで上がる階段を私の場合最初に考えます。 1階〜2階と2階〜3階に上がる階段の位置は揃わなくてもいいのですが位置がずれますと、階段に取られるスペースが増えてしまいますので1〜3階まで同じ位置で揃えます。

北側は1階がへこんでいますので2階に上がった時に中途半端な位置に階段がきます。東側及び西側はスペースはとりやすいのですが動線が長くなり廊下が必要になってくるのでやはり無駄なスペースができそうです。
残るは南側なんですが「普通に考えると南側に階段なんて…」と思われるかもしれませんがそうでもないんですね。
実は吹抜の役目をするんです!
吹抜と同じようによく日の当たる2,3階の採光が1階までさしこみますし、階ごとの温度差も少なくしてくれるんです。階段の形は東西に長い建物なので同じように東西に長い階段の方が比較的とりやすいので結果<図6>のようになります。

図6:岡山市南輝 狭小地住宅 階段位置を検討
▲図6:各階ゾーニングと階段位置を検討(クリックで拡大)


次に1階のゾーニング<図5>にあるように洗面室・浴室・玄関・収納の配置を考えます。

玄関について
道路に一番近い場所であると同時に2階のLDKまでの動線もなるべく近いほうが良い。

洗面室・浴室について
通りからはあまり人の目につかず、なおかつ明るい場所。

収納
できるだけ多くとること。外からのアクセスが近いこと。


以上のことをふまえて考えますと<図7>のようになります。
図7:岡山市南輝 狭小地住宅 1階間取り検討中
▲図7:1階間取りを検討中…(クリックで拡大)



これを部屋や廊下を無理矢理とろうとするとかえって狭苦しさがあるのですが視点をかえて1階をほとんど収納やクロークにしてしまうと逆に「こんな狭い土地に建っているのにこれだけの収納がとれるのか!」とさえ思えます。



次に2階です。LDKについてですができるだけ広くとりたいので2階のほとんどをLDKにしてしまいます。そしてその中に必要な家事室とトイレをとるんですね。


リビングはお客様をお通しする場所でもあるので階段から上がったすぐ東側に配置し、家事室、トイレ・キッチンを西側に配置します。そうすることで自然とキッチンや3階などのプライベート空間とリビングなどの共用スペースを分けてくれるんですね。よくできたものです!
そうしてできたものが<図8>になります。

図8:岡山市南輝 狭小地住宅 2階間取り検討中
▲図8:2階間取りを検討中…(クリックで拡大)




次に3階です。
3階はプライベートルームばかりですので個々に使い勝手を考えるのですが、今回は子供のスペースをカテゴリー分けして考えてみました。
普通で考えますと子供2人ですから単純に子供部屋を2部屋とれば・・・と思いますが、この家のように土地が狭く建物の形も細長い、まとまった部屋を取りにくいときに勉強するスペース・寝るスペースというふうに用途を分けてスペースをとると以外に広くとれるんですね。

それから主寝室ですが、夫婦で普段は使わない服やシーズンオフのものなどが結構多いのでできるだけ広いクロークを設けたほうがよいでしょうね。

そうしてできたものが<図9>になります。

岡山市南輝 狭小地住宅 フロア間取り決定
▲図9:全フロアの間取りが決定(クリックで拡大)



これでほぼプランニングはできました。



6.開口部の配置

プランニングの次に考えるのが窓や入口などの開口部です。これは構造の耐震性にも非常に関わってきますので注意しなければなりません。
なぜかというと開口が多い場合、木造などの耐震の主となる壁量(壁の長さ)が減ってしまい耐震性能が損なわれかねないからです。 この建物の場合東西に長く、南北に極端に短いので東側及び西側には一切窓を設けず、南側にできるだけ大きな窓をとり、北側に風や空気が抜けやすいように小さな窓を設けるように考えました。
これで平面プランの出来上がりです。

岡山市南輝 狭小地住宅 平面プランが完成しました
▲図10:平面プランが完成しました!(クリックで拡大)

冒頭でもお伝えしましたように外観などはあらかじめイメージしていましたので私的にはこれでほぼ完成みたいなものです。



7.外観パース・内観パース
最後にあらかじめイメージしていた外観や内観を実際のパースにします。西側道路ですので一番よく見える西側の壁の2階部分より上一面を木板張りにし、他の3面はすべて白で統一します。

そうすることで木板をクローズアップし、インパクトを与えます。以上をふまえて完成したものが<パース1><パース2>です。



***
▲パース1:外観(クリックで拡大)

***
▲パース2:外観 正面から(クリックで拡大)




内部も壁・天井をすべて白統一します。全体的に淡い色でまとめるとより広く感じるからです。床材には巾の広い天然のパインフロアーを使います。これも空間を広く感じる工夫として巾広のものを使い、天然の素材を使うことによってあたたかみのある空間になります。
ドアーは2.4M高の天井までのオーダーメイドでつくるのですが、これも空間を大きくみせる工夫で、既製品のものと違い、壁の色に合わせることもできるからです。

そうしてできたものが<パース3><パース4>になります。


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▲パース3:内観 LDK(クリックで拡大)

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▲パース4:内観 LDK(クリックで拡大)

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▲パース5:内観 1階クローク(クリックで拡大)

・建物面積表
1階床面積25.05m² (7.57坪)
2階床面積37.26m² (11.27坪)
3階床面積37.26m² (11.27坪)
延べ床面積90.57m² (27.39坪)
アプローチ面積1.03m² (0.31坪)
土間スペース面積8.69m² (2.62坪)
施工面積100.29m² (30.33坪)
・建物本体内部仕様
杉板30mm厚張り
ビニールクロス張り
天井ビニールクロス張り
内部ドアーオーダメイド製2.5m高
住宅設備機器TOTO製品(住宅設備機器プランシートをダウンロードする)
24H換気ダイケンエアスマート
電化住宅クボタセミオート電気温水器
・建物本体外部仕様
基礎(ベタ基礎)モルタル刷毛引き
外壁防火サイディング張り(一部木板張りの上塗装仕上げ)
屋根ガルバニュウム鋼板葺き
サッシアルミ製
ガラスペアガラス
縦樋塩ビ製
屋根樋(箱樋)ガルバニュウム折曲加工
軒裏杉板張りの上塗装仕上げ
水切ガルバニュウム折曲加工

これですべてのプランニングが完成しました!




最後に

第一回目の不動産レポート、パース作成まで進めてみましたがいかがでしたでしょうか。
立体的な絵があると実際のイメージも想像しやすいのではと思います。

最後に本プランでの具体的なご予算・資金計画についてですが、架空の案件ではありますがローン計画までプランニングを行っておりますので、 もし気になる方は個別にご相談下さい。
ちなみに大まかなところだけご説明いたしますと、基本的に私は図面に書き込んだすべてのものを金額のなかに含めた形でご提案しています。
冒頭でもお話したよう施主様が「その家に住んでいる」ことをイメージしてプランニングしておりますので家具や外構なども含めたトータルでデザイン提案となります。 これは私の思いだけでなく、実際に今まで私の会社で建てさせていただいたお客様からのご意見でもあるのですね。
含まないものとすれば家電製品位ですが、それも一緒に提案してほしいと言うご意見も過去にはございました。


実際に建てたお客様のご意見
  • ・家具、照明器具、カーテンなどを購入したのだが、雰囲気が合わない
  • ・家具、照明器具、カーテンなどを見に行く時間があまりないので簡単に済ませてしまったり、揃わないので古いものを使っている。
  • ・家具の寸法が合わないので無駄なスペースが多い。
  • ・予算が無いので外構を後でちょっとずつ工事をしようと思っていたのだが、結局トータルで計算すると高くついた(これはその都度経費がかかるためです。)
  • ・外構の予算がなかなかできず、結局野ざらしになり、雑草の草抜き等が大変。
これはごくほんの一部です。ほとんどの方が「先に家と一緒にやっておけばよかった…」と…。

これらのことをすべて設計の段階から入れてご提案いたします。お引越後すぐにでも住めますし、新居での片付けの負担も軽減いたします。
ほとんどの方がご経験をお持ちだと思いますが、引越しにはかなりの時間やお金を浪費する事がございますので、ここがスムーズですと本当に気持ち良く新しい家での生活がスタートできますね。

他、建物本体については一般的によく広告などででている建売住宅や企画住宅のような法律ギリギリの耐震・断熱性能で安さだけを追求したような資産価値のない住宅ではなく、あくまで私の会社で建てている注文住宅で採用している耐震N−DHS構法カネライト断熱工法での価格ですので中身の分からない建売住宅や企画住宅のような不安はありません。

これはあくまでケーススタディですので、ここまでお話したこと以外にもいろいろ工夫はありますが、 今回は「安い土地を購入し、資産価値が高く、良く工夫され、デザインに優れた家」というテーマでやってみました。

その中の一例としてみなさんのお役にたてればと思っています。まだまだこれからも第2弾、第3弾と続けてまいりますのでご期待ください!MAHALO!!!
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